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カテゴリー: 北野
意味変と意味売
Posted 2022年05月20日 by
北野です。
動物病院数も増加してきており、予防やフードなどの医療技術以外は、どの病院に行っても同じものが手に入るようになっている。
特にフードやサプリなどの小売り商品はネット通販でも購入することができるため、扱いを減らす動物病院も出てきている。
小売り商品は在庫管理、賞味期限管理や発注業務など、様々な付加業務が発生することもあり、業務効率化の課題となることもある。
取扱いを続ける、削減するかどちらが正解かは病院の状況によって変わってくる。販売による利益と人件費などの諸経費を比較して、収支状況によって判断するという方法もある。
もし、取扱いを継続するならば、病院で買うことの意味を付加することを考えていきたい。
これには三層のレイヤーがあると考えている。一層目は自身の動物へのポジティブな効果、二層目は病院で買うことで何らかの社会貢献に繋がるなどのポジティブなアクション、三層目はこの病院で買いたいというようなブランディングである。
二層目以降が意味変となり意味売りとなってくる。ここの部分が強くなることができると、小売り商品のみならず、病院の差別化・競争力の強化にも繋がってくる。
病院全体のブランディングというのは難しさを感じるかもしれないので、まずは小売り商品の意味変と意味売りから考えていただきたい。
広報型採用システム
Posted 2022年05月16日 by
北野です。
採用において重要になるポイントの1つに広報があると考えている。
先日の採用セミナーでもお伝えしたが、学生インタビューを振り返ってみると、コロナの影響もあってか受動的になってる風潮がある。
「募集をしているか分からない」、「実習を断られたらどうしよう」、「自分に合う病院だろうか」など現地に行ってから判断するよりも、事前情報の取得に余念が無い。
これはマインドの変化というよりも、コロナによって「院内で感染者が出たから実習が急遽キャンセルになった」、「学校から県外移動を禁じられた」などの体験をしている学生が想像以上に多いことが要因となっている。
また、なんの接点もない病院にアプローチするというのもなかなか考えにくいだろう。
新卒学生であっても人材紹介を利用するというのも頷ける。希望条件を言えば自分に合った病院を提案してくれるし、言いにくいことも聞いてくれる。
時間のコスパがよいということにもなるだろう。
ただし、人材紹介には病院側が費用がかかることも分かっており、できるなら利用せずにいきたい。。。という声もある。
これらを踏まえていくと、病院側がどう情報を出していくかということが解決策になっていきそうである。どんな病院か、どんな人がいるか、どんな雰囲気か、広報的な視点で情報を出し続けていく。
情報はストックされるため、この先数年にわたって活用していくことができる。
より効果的に活用するには、学生に見に来てもらうプル型媒体と届けるプッシュ型媒体の2つを用意して使い分けを行うことである。
採用に力を入れる場合は候補的視点を取り入れていただきたい。
ご意見とクレーム
Posted 2022年05月06日 by
北野です。
先日会員様でクレーム対応についての相談があった。詳細は差し控えるが、動物病院様ならどこもが経験するような内容である。
そのため、対応自体は問題なく進んでいくが、どこまで対応すべきかということが課題となる。問題について訴えている飼い主様の声を「ご意見」と受け取るか「クレーム」と受け取るか、対応の線引きをどこで区切るか?を決めておく必要がある。
お客様は神様ですのように考えて、対応の線引きを越え続けてしまうと、不均衡がうまれて「前は対応してくれた」、「あの人はよくて何故私はダメなのか」というような負のスパイラルに陥る。
こういったことを防ぐためには、ルール設計と線引きの2つが必要となる。
飼い主様からお声が出るということは、何らかのルール設計上の不備がある可能性が大きく、その改善に全力を注がなければならない。
お声への対応に振り回されて終わりではなく、その改善に時間と労力をかける必要がある。ルール整備に自信が持てるようになると、「ご意見」と「クレーム」の線引きも行いやすくなる。
またクレームにははっきりと「No」を言えるようにもなる。ルール設計にしっかりと目を向けて時間をかけていただきたい。
自由と規律
Posted 2022年04月29日 by
北野です。
組織運営を行う際に、どこまで任せてどこから指示するかの線引きを考えることがある。
管理し過ぎると自主性がなくなるし、無管理だと好き勝手がまかり通ることになる。
概ね新卒だと入社歴が3年を過ぎた頃、中途だと1年を過ぎた頃から職場や業務に慣れてきて自己判断を行うことが増えてくる。
組織の方針やルールに基づいた自己判断は歓迎されるが、そうでない場合には周囲への悪影響となることがある。
やっかいなのは、間違った自己判断をしているにも関わらずそれに気付いていない人である。さらに、自分ができる人間だと勘違いして自己判断しているような、ある意味で自己陶酔している人すらいる。
こうなるとやっかいで、本人の中の間違った正義をどう矯正していくかを考えないといけない。矯正できない場合には切除するしか方法がなくなってしまう。
こうならないようにするためにも、自由と規律のバランスを考えておく必要がある。また、自己判断が許される存在なのか否か、各人に理解させておくことも必要だろう。
規律を守れるからこそ自由が与えられる。
規律が最初、自由が次である。
この順番だけは理解しておきたい。
そのミスが組織改善に繋がる
Posted 2022年04月22日 by
北野です。
新人が入り1カ月を迎えようとしている。
今回はそんな時期に考えておきたい話。
新人は「社会人の未経験者」、「仕事の未経験者」であるため、全てを完璧にこなせる人はいない。
何らかのミスをすることは当然である。
「ミスから学ぼう」というのは、聞こえのよい言葉ではあるが、学べるかどうかは病院の環境によるなと感じている。
ミスには「人為的なミス」と「システム的なミス」の2つがあり、入社後3カ月以内に起こるミスの多くが「システム的なミス」であることが多い。
教えられていないことにより発生するミス、流れが悪いことにより発生するミスなど様々であるが、現場は多くが「人為的なミス」として扱われることが多い。
学べる組織というのは、「人為的なミス」であっても、システムエラーが無いかを確認し、改善を積み重ねられる組織である。
何がミスの原因となったのかを探り、誰かの起こしたミスを組織課題として捉えられるかは重要である。
しかし一方で、「人為的なミス」として扱い続けると、個人課題に留まり、ある意味で個人攻撃を積み重ねることになってしまう。
こうなると、ミスをした新人はミスを隠したり誤魔化したりすることも増えてしまう。失敗したら怒られるから隠そう誤魔化そうという考え方になってしまう。
組織においては「ミスをする人」よりも「嘘をつく人・隠す人」の方が組織に大きなダメージを与えることになるが、これはミスをする個人ではなく、組織が産み出してしまっていることがほとんどである。
新人がミスをするのは当然である。そのミスはシステム的なミスではないか?という認識で組織の改善を進めていただきたい。
ゆるブラック
Posted 2022年04月15日 by
北野です。
働き方改革という名の下、労働時間や労働環境改善の動きが始まり、ブラック企業という言葉も一般化している。
働き方改革により「働きやすさ」は改善したものの、「働きがい」を得られない企業が増えているという。
仕事が緩すぎて成長できない「ゆるブラック企業」という言葉が出てきているという。
経営者達からは失笑が漏れそうであるが、イメージに反して働くことに意欲的な若手が多いこともあり、会社としては考えておきたいテーマである。
ある調査によると、「働きがい」のポイントが高い企業は残業時間が多く、有休消化率が低いが社員の士気が高く、1年後の売上高の伸びに相関しているという。
一方で「働きやすさ」のポイントが高い企業は残業時間も短く有休取得率も高く、1年後の営業利益の伸びに相関しているという。
拡大という攻めに入るなら「働きがい」を、維持という守りに入るなら「働きやすさ」が大切になるだろう。ただし、どちらが大切というより、そのバランスと比重をどちらに置くかとなり、どこでスイッチを入れ替えるかということが重要となるだろう。
今年から絆パーパス経営を提唱しているが、「パーパス」は「働きがい」に大きく寄与する取組である。
拡大タイミングにおいても考えておきたい。
効率と正確の狭間
Posted 2022年04月08日 by
北野です。
新人も入り、教育が本格化し始めている。
教育においては、ここ数回で何度か書いているので、そちらも参照いただきたい。今回も現場で感じることについて考えてみたい。
入社3年目くらいまでのスタッフをザックリと分類すると、
・仕事は速いが雑なタイプ
・仕事は遅いが丁寧なタイプ
の2つに分かれてくる。
新人の頃の特徴としては、
前者は成長曲線が比較的速いタイプ
→速い時期から比較的多くのことができる
後者は成長曲線が比較的遅いタイプ
→ 最初はあまり仕事ができない
という傾向が強い。
医療という特性を考えると正確性は必要だが、
経営という特性を考えると効率化も必要となる。
効率か正確性か二者択一でない以上、状況に応じた判断が必要となるため、仕事は速いが雑なタイプには正確性を増すための改善策を、仕事は遅いが丁寧なタイプには効率化を増すための改善策を個別に与える必要が出てくる。
当たり前のように見えることがなかなか改善が進まないのは、特性に応じた伝え方と改善策が伝わっていないことが大きい。
脳科学的には伝わるには2つのレイヤーがあると言われており、Why(物語)から入ってHowto(理屈)で伝えるということが重要とのことである。
脳を同心円的に見ると、真ん中にある部分は感情や理由を扱っていて、外側にいくにつれて論理や数字を扱うようになる。
言われたことをやらないという状態はスキルの欠如の場合を除き、「何か腑に落ちない」という心理状態になっていることが多い。
理屈では分かるが直感的に違和感ある状態である。脳の外側で判断しているため、真ん中に働きかけないとならない。
そのためには、相手の感情に働きかける必要があり、これには組織のパーパスや自身のなりたい姿などに結びつけることも有用である。
新人のうちから伝えておきたい。
ミニマム運営
Posted 2022年04月01日 by
北野です。
ある会員様では、今よりも少ない人員で今以上の運営を行える体制作りをイメージし始めている。
採用が難しくなってきていることもあるが、高い生産性の組織作りが様々な社会環境の変化に備えることができると考えているからである。
特に来年4月からは動物看護師の国家資格化に伴う看護師の業務範囲の拡大によって、獣医師業務の軽減も可能になると考えている。
ここ数年間でデジタルツールなどへのタスクシフティングを進めてきているが、さらに人へのタスクシフティングも合わせることで、より効率的な運営ができるようになるだろう。
今年は例年以上に採用に関するご相談をお受けする。それらの病院は設備も医療技術も労働環境も経営方針もとても素晴らしい病院が多くなっている。かつてのような3Kに近い環境はない。
それでも採用に困っているということは、1つには情報発信力の弱さという点もあるが、何というか従来の延長線上での運営となっており、素晴らしいのだが旧態依然としている印象を受ける。
M&Aによるグループ化の進行、専門科病院の増加、病院数増加・動物頭数減、スクリューフレーション基調というダイナミックに変化している環境下では、従来型の延長ではなく相応の体制変化が必要なのではないかと感じている。
そもそも人を採用することだけが解決策なのか?など今まで当たり前だったことを疑うことも必要だろう。
高い生産性を発揮できるということは、高い成長性、労働条件の拡充など組織としての魅力をさらに高めることにも繋がる。
未来の採用力強化を考えるうえで、今から準備しておきたい。
成長イメージの共有
Posted 2022年03月25日 by
北野です。
4月から新入社員が入ってくる。
ここ数年の新人動向を踏まえて、今後必要になってくると思われる対応を考えてみたい。
まず感じるのは、新人獣医師の「こうなりたい」と思う成長イメージレベルの低下傾向である。
病院側としては、1人前(一人で診療、不妊手術程度、初期の緊急対応が可能なレベル)にしてあげようと思って教育を行うが、新人獣医師の成長イメージレベル以上を初めから期待してしまうと、イメージのズレによる齟齬が起きてしまう。
先輩が良かれと思って行っていることが、実は相手を追い詰めてしまっている、ということにもなり得るのである。こうなると、先輩・新人ともに不幸だし、病院全体にとっても疲弊感が漂ってくる。
もちろん相手のイメージレベルで留まらせることが良いわけではないが、どの新人も一律の成長イメージを持っているわけではないということを理解しておきたい。(もちろん初めからイメージレベルが高い新人もいる。)
また、新人自身も順調に成長しているタイミングと、伸び悩んでいるタイミングとでは、成長イメージの高低に大きな差が出てくる。
上手くいっている時は「もっとできるようになりたい!」と思うだろうし、自信を無くしている時は「ここまでで十分」と思うかもしれない。
そのため、新人教育を行う上では、その時々の新人の成長イメージと今の状態を把握しつつ、教育スケジュールの柔軟な変更を検討することが望ましいと考えている。
小さな成功体験を積み重ねさせれば、成長イメージは徐々に高くなっていくだろう。以前に比べると細やかなケアが必要になるが、その分ハマればより定着にも繋がりやすい。
4月からの新人教育を考えていただきたい。
ルールメイキング
Posted 2022年03月18日 by
北野です。
マネジメント課題の一つに権限移譲がある。
組織として自発的に動くことを求めるのであれば、何かある度にトップや管理職に確認・指示を求められる状況は好ましくない。
それらを実現するためには、役職などの役割を与えるだけでは不十分で判断基準ともいえるルールを設けておく必要がある。
例えば、患者対応でトラブルが発生した際に、何らかの金額値引きが必要になった際、リーダークラスであれば●万円までの値引きはリーダー権限で判断してもよい、というようなものである。
役職という役割を与えてはいるものの、ルールが不十分であるために役職者が機能しないというケースが多い。そのため役職とルールはセットで設定することが望ましい。
また、ルールは組織状況により常に変化するものであるし、柔軟に変化させるべきものである。そのため全て決めきる必要はなく、必要に応じて設定していけばよい。
大きく構えずに小さく積み上げて対応していっていただきたい。
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