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カテゴリー: 黒澤
科学的に証明された「手書き」がもたらす3つの効能
Posted 2025年08月05日 by
鳴り止まない電話、ひっきりなしの来院受付、そしてPCでのカルテ入力…。気がつけば、1日の大半をデジタル画面の前で過ごしている、という方も多いのではないでしょうか。もちろん、電子カルテや各種ツールは今や診療に欠かせないものです。しかし、効率化を求める一方で、どこか思考がまとまらなかったり、スタッフとの些細なすれ違いに悩んだりすることはありませんか?
実はその解決のヒントが、最もアナログな行為である「手書き」にあるかもしれません。今回は、科学的にも証明されている「手書きの効能」を、動物病院の日常業務に当てはめながらご紹介します。
効能1:学習効率が劇的にアップ!
新しい治療法や薬の知識を学ぶため、学会やオンラインセミナーに参加する機会も多いことでしょう。その時、ノートPCでメモを取っていませんか?もちろんタイピングは速くて便利です。しかし、記憶の定着という点では、手書きに軍配が上がります。
ノルウェー科学技術大学の研究では、学生に手書きとタイピングをしてもらい脳波を測定したところ、手書きをしている時は脳全体が活性化するのに対し、タイピングで活性化する領域ははるかに小さかった、という結果が出ています。これは、手書きが単なる作業ではなく、ペンを握り、紙に押し当て、文字の形を思い出しながら書くという、複数の感覚を使う複雑な知的活動だからです。
PCでのメモは、話された言葉をそのまま打ち込む「書き写す」作業になりがちです。しかし手書きの場合、話すスピードに追いつけないため、自然と自分の頭で情報を要約し、重要なポイントを整理しようとします。この「まとめる作業」こそが、知識を単なる情報ではなく、使える知恵として脳に刻み込む鍵なのです。
≪こんなシーンで≫
- セミナーの内容を、ただ書き写すのではなく、簡単な図や矢印を交えて手書きでメモする。
- 院内勉強会で、教わったことをA4一枚に手書きでまとめてみる。
後から見返した時、PCの無機質な文字よりも、自分の手で書いた文字や図の方が、その時の思考やひらめきまで鮮明に思い出させてくれるはずです。
効能2:思考が整理され、良いアイデアが生まれる
「新しい集患施策を考えたい」
「院内の業務フローを改善したい」
院長先生やリーダーの立場にある方は、常にこうした課題と向き合っていることでしょう。しかし、PCの前で唸っていても、メールやチャットの通知に邪魔されて、なかなか集中できないものです。一方で、手書きのノートは、インターネットにつながっていません。だからこそ、誰にも邪魔されず、自分自身と深く対話できます。
頭の中のモヤモヤを、まずは紙に書き出してみませんか?「手書き」の"遅さ"や"制限"が、逆に思考を深めてくれます。一つひとつの言葉を選びながら書くことで、本当に大切なことが見えてくるのです。
≪こんなシーンで≫
- 来年の病院の目標やビジョンを、誰にも見せないノートに自由に書き出してみる。
- スタッフ教育や業務改善について、マインドマップを使って手書きでアイデアを広げてみる。
- 朝礼前の5分間、今日やるべきこと(To-Doリスト)を手書きで書き出し、頭を整理する。
効能3:温かみが伝わり、コミュニケーションが円滑になる
動物病院の仕事は、医療技術だけでなく、コミュニケーションが非常に重要です。飼い主様へのインフォームド・コンセント、そしてチームで動くスタッフ間の連携。ここでも手書きが力を発揮します。
対飼い主様:安心感と理解を深める
手術や病状の説明をする際、PC画面のデータを見せるだけでなく、簡単な体の図やイラストを手書きで描きながら説明するだけで、飼い主様の理解度は格段に上がります。一生懸命に書いて説明する姿は、言葉以上に「この先生はしっかり向き合ってくれている」という安心感と信頼感につながります。
対スタッフ:チームの結束力を高める
忙しい業務の中では、つい指示や連絡もデジタルで効率的に済ませがちです。しかし、そんな時代だからこそ、手書きのひと言が心に響きます。
- 後輩スタッフの頑張りを労う「〇〇さん、いつもありがとう!」と書いた小さな付箋。
- 院長からスタッフへ、今月の目標達成を祝う手書きのメッセージカード。
たったこれだけで、職場の空気は温かくなり、「また明日も頑張ろう」という気持ちが生まれます。これは、どんな高価な福利厚生にも勝る、最高のチームビルディングかもしれません。
今から、ペンとノートを用意しませんか?
デジタル化が進む現代において、手書きは一見、非効率で時代遅れに見えるかもしれません。しかし、手書きの時間は、脳を活性化させ、思考を深め、人の心を繋ぐ「創造的な時間」です。
命と向き合うストレスの多い現場だからこそ、一日の終わりに5分、今日感じたことをノートに書き出すだけでも、心が整理される「精神的な治癒効果」があることも分かっています。
明日から、お気に入りのペンと小さなノートを白衣やスクラブのポケットに忍ばせてみませんか?その小さな一歩が、先生ご自身、そして病院全体を、より良い方向へ導いてくれるはずです。
スタッフの「やりがい」が、飼い主様の「安心」に変わる時
Posted 2025年08月04日 by
スタッフの接遇やコミュニケーションスキルを向上させるために、どのような取り組みをされていますか?
今年6月、セブン-イレブンが第3回目となる接客技術を競う全国大会を開催し、その様子がニュースになっていました。年々規模が拡大しており、今年は全国のスタッフの中から選ばれた精鋭たちが、その頂点を目指して技術を競い合ったそうです。また、日本マクドナルドでも「AJCC」というクルーの技術コンテストを50年近く毎年開催しています。全国に店舗網を持つ大企業だからこそできる、壮大な取り組みですよね。
「素晴らしいけれど、個人の動物病院で全国大会なんて、とてもじゃないけど真似できない…」
そう思われるのも、もっともです。しかし、ここで本当に注目すべきは、大会の「規模」ではありません。その「目的」です。
なぜ、大企業は「コンテスト」を毎年行うのか?
セブン-イレブンのような企業がこの取り組みを継続する狙いは、単なる技術向上だけでなく「従業員の定着率を高める」ことにあります。スキルを評価する大会や制度を設けることで、スタッフの「やりがい」を高める、というわけです。
これは、心理学でいう「内発的動機づけ」、つまり「やらされ感」ではなく「自らやりたい!」という気持ちを引き出す仕組みです。
この「やりがい」の源泉となるのが、
- 自律性:「自分で考えて行動できた」という感覚
- 有能感:「自分ならできる」「貢献できた」という感覚
です。
大企業の取り組みは、まさにこの「自律性」と「有能感」を育む、非常に優れた仕組みなのです。
動物病院における「やりがい」とは?
この話はそのまま動物病院にも当てはまります。
周辺に競合の病院が増え、医療設備だけでの差別化が難しくなる中で、飼い主様が病院を選ぶ決め手は何でしょうか?
それは、的確な診断や治療はもちろんのこと、
「不安な気持ちに寄り添ってくれた」
「うちの子の名前を覚えていて優しく声をかけてくれた」
「説明がとても丁寧で分かりやすかった」
といった、スタッフ一人ひとりの対応ではないでしょうか。
サービスの現場では、やる気に満ちたスタッフによって、飼い主様の満足、そして何より「安心」が生まれます。スタッフ満足が、飼い主様満足を生み出すのです。
全国大会はできなくても、私たちの病院でできること
問題は、それを「いかに実現するか」です。「飼い主様満足が大事」「スタッフ満足が大事」という掛け声だけでは、何も変わりません。全国大会はできなくても、スタッフの「自律性」と「有能感」を育み、やりがいを引き出すための仕組みは、必ず作れます。例えば、このような取り組みはいかがでしょうか。
1.院内ロールプレイング大会
月に一度、診療後の短い時間を使って、持ち回りでテーマを決めてロールプレイングをしてみる。
- 「初めて子犬を飼った飼い主様への対応」
- 「手術を控え、不安が強い飼い主様への説明」
- 「お叱りを受けた際の初期対応」
獣医師、愛玩動物看護師、受付がチームになり、それぞれの立場からどう動くかを見せ合うことで、個人のスキルアップだけでなく、チーム医療の質も向上します。
2.「ありがとう」の可視化
飼い主様からいただいた感謝の言葉(アンケートや会話など)を、院内のバックヤードに掲示して共有する。また、スタッフ間でお互いの良い動きに対して「サンクスカード」を渡し合うのも良い方法です。自分の仕事が誰かの役に立っていると実感でき、大きな「有能感」につながります。
3.小さな表彰制度
「今月のMVP」「ベストスマイル賞」など、院長先生からささやかなプレゼントと共に表彰する。頑張りや成長が「認められている」と感じることは、何よりのモチベーションになります。
悪循環を断ち切るために
「人手不足で忙しい」
「コストをこれ以上かけられない」
そのお気持ちは痛いほど分かります。しかし、だからといってスタッフの教育やモチベーション向上のための投資を後回しにすると、どうなるでしょうか。
多忙・人手不足
→ スタッフの疲弊・スキル低下
→ サービス力の低下
→ 飼い主様の不満・来院数減少
→ 経営圧迫」
という、恐ろしい悪循環に陥ってしまう危険性があります。
この悪循環を断ち切り、地域で選ばれ続ける動物病院になるために、今こそスタッフの「やりがい」に投資することが必要です。
セブン-イレブンやマクドナルドの壮大な取り組みから私たちが学ぶべきは、「スタッフの成長とやりがいを育む仕組みこそが、最高の顧客満足を生み出す」という普遍的な哲学です。
自院に合ったやり方で、ぜひ今日から小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
飼い主様の「困った」に焦点を当てるCESとは?
Posted 2025年07月10日 by
飼い主様の満足度を、どう測っていますか?
顧客満足度やNPS(ネットプロモータースコア)だけでは見えてこない、もう一つの重要な指標があります。それが今回ご紹介するCustomer Effort Score(CES)=顧客努力度スコアです。
CESとは? 飼い主様の「手間」を数値化する
CESは、飼い主様が自院のサービスを利用する際に、どれだけ手間や労力がかかったかを測る指標です。
「今回の診察はスムーズでしたか?」「予約は簡単に取れましたか?」
といった質問で、飼い主様が感じた「簡単さ」や「大変さ」を数値化します。
なぜこれが重要なのでしょうか?
ペットの体調が悪い時、飼い主様は大きな不安を抱えています。そんな時に、病院の予約が取りにくかったり、待ち時間が長かったり、会計で手間取ったりすると、その「手間」がさらにストレスを増幅させてしまいます。
CESが高い(つまり、手間が少ない)ほど、飼い主様はそのサービスを「使いやすい」「利用しやすい」と感じ、結果として病院へのロイヤリティが高まり、再来院や口コミにも繋がりやすくなります。
動物病院でCESを活用する流れ
飼い主様が病院との接点を持つあらゆる場面で、「どこに手間がかかっているか」を見つけることです。
-
飼い主様の「困りごとポイント」を見つける
飼い主様が病院に来てから帰るまで、どんな時に「困ったな」「面倒だな」と感じているか、想像してみましょう。
- 来院・予約時:
- 「電話がなかなか繋がらない」
- 「駐車場が分かりにくい、狭い」
- 「オンライン予約システムが使いにくい」
- 「待合室での待ち時間が長すぎる」
- 診察・会計時:
- 「獣医師や看護師さんの説明が専門的すぎてよく分からない」
- 「お薬の受け取りに時間がかかる」
- 「会計が混んでいて待つ」
これらの「困りごとポイント」が、まさにCESを改善すべきターゲットです。
-
「困りごとポイント」の直後にCES調査を実施
飼い主様が「困った」と感じた瞬間に近いタイミングで、短いアンケートを実施します。例えば、「今日の診察までの待ち時間は、ストレスなく過ごせましたか?」や「会計はスムーズでしたか?」など、具体的な質問をします。診察後や会計後すぐのアンケートが有効です。5段階や7段階評価で、直感的に答えられるように工夫します。
-
「手間をなくす」ための具体的な改善策を実行する
調査で明らかになった「高労力ポイント」に対して、具体的な改善策を打ち出します。
CESの活用は、単に業務を効率化するだけでなく、「この動物病院は、飼い主のことを本当に考えてくれている」という信頼感を生み出します。飼い主様の手間を減らすことは、結果的に満足度を高め、長期的なリピーターを増やし、良い口コミが広がることにも繋がります。
ぜひ、皆さんの動物病院でもCESを取り入れて、飼い主様とペットにとって最高の病院を目指してください。
マーケティングを「見える化」する必要性
Posted 2025年06月11日 by
現代の動物病院経営において、「漠然とした施策」は通用しなくなってきています。
■市場の変化と競争の激化
ペットを飼う家庭が増える一方で、動物病院の数も増加し、獣医療のサービスは多様化・コモディティ化しています。多くの動物病院が乱立し、どの病院も同じようなサービスを提供しているように見えてしまう中で、選ばれる存在になるためには、明確な戦略が必要です。
■「とりあえず」の限界
「なんとなく広告を出してみる」「とりあえずSNSを始めてみる」といった場当たり的な施策では、効果測定が難しく、投資した費用・労力が無駄になってしまうリスクがあります。何が効果的で何がそうでないかが見えないため、改善の機会を逃し、成長の足かせになることも少なくありません。
そんな中、数字は飼い主様の行動パターン、マーケティング施策の集客効果、そして病院の収益性について、客観的で揺るぎない事実を教えてくれます。「感覚」ではなく「データ」に基づいた判断をすることで、適切な経営判断が可能になります。
それでは何をしてけばいいのか?
各施策において、具体的に何を達成したいのかを示すKGI(重要目標達成指標)と、それを達成するための過程を示すKPI(重要業績評価指標)を設定することをおススメします。
例えば、KGIとして「新規来院数月間30%増」設定し、それを達成するためにKPI「ウェブサイトからの問い合わせ数月間20%増」を設定します。一般の企業だとKGIやKPIの設定は珍しくはありませんが、動物病院だと取り組まれているところはまだまだ少ない印象です。
まずは、簡単なところからKGIとKPIの設定をしてみてはいかがでしょうか?
顧客中心発想で考えるマーケティング
Posted 2025年05月28日 by
ある商品の開発秘話が素敵だったので紹介します。
2人の息子がいるお父さん。お子さんが絵を描き、文字を書き出すと、無流で机に顔を近づけていたそうです。お父さんからすると目が悪くならないか心配になってしまいます。
そのため、姿勢を注意しますが、すぐに元に戻ってしまいます。これには理由があり、子どもたちの視界は大人に比べて狭いそうで、狭い視界で子供なりにものをよく見ようとしていたのかもしれません。
「夢中な子どもたちの目を悪くしたくない。」
何か自分にできることはないかと「子どもたちの目を守る光」というコンセプトをもったデスクライトの開発が始まりました。
どうしても前かがみになってしまう子どもたちには、光源が頭上にあると、自分の頭が影になって手元が暗くなってしまいます。手元が暗くならず、且つ光源が直接視界に入って眩しいと感じることがないように、など光の理想を探していきました。
そこで、世界で一番、物がよく見えなければならない現場はどこだろう?と考え、光源部分は手術灯のテクノロジーを元にしています。また、開発当時はあまり知られていなかった太陽光LEDを使うことで、従来の白色LEDでは失われてしまっていた本来の色合いを、子どもたちの目に映すことができるようになりました。
最後にデザイン。子どもの目を守りたいという願いから始まり、それがなぜかというと、素晴らしい夢を見てほしかったから。この原点を考えた時、「90%までのデザイン」というアイディアが生まれました。子どもたちにクリエイティブであってほしいという願いを込めて、残りの10%は、子どもたちの手に委ねました。
※商品:BALMUDA The Light(https://www.balmuda.com/jp/light/)
新しい商品やサービスを作る時には、どうしても「製品中心発想」になってしまいがちです。しかし、この商品の開発経緯は「顧客中心発想」で考えられていることが素晴らしいなと感じます。
●顧客中心発想
顧客のウォンツや市場の動向を起点に製品やサービスを開発するアプローチ。
「この顧客の課題にどうすれば応えられるだろう」
●製品中心発想
自社の技術や強み、作りたいものを起点に製品やサービスを開発するアプローチ。
「この商品/機能/価格なら顧客は喜んで選ぶはず」
動物病院様でも、顧客中心発想で考えてみると、今までとは違ったアイディアやサービスを生み出すことができるかもしれません。
飼い主様の「最初の連想」を掴む!カテゴリーエントリーポイントとは?
Posted 2025年05月02日 by
「うちの動物病院の強みは何だろう?」
「どんな時に飼い主さんは動物病院を探すんだろう?」
このように考えたことはありませんか?
マーケティングの世界には、顧客が特定のニーズを感じた時、最初に思い浮かべる選択肢になるための重要な考え方があります。
それが「カテゴリーエントリーポイント(CEP)」です。
簡単に言うと「〇〇と言えば、△△!」という連想を生み出すことです。
例えば、「うちの子が痒がっている」となった時に、飼い主様が自院の病院名をパッと思い浮かべてくれる状態が理想的です。
動物病院の場合、CEPは様々な場面に紐づきます。
- 困った症状: 「愛犬が急に吐いた」「愛猫のおしっこが出ない」
- 予防・ケア: 「狂犬病の予防接種」「フィラリア予防」
- ライフステージ: 「子犬を飼い始めた」「老猫の健康診断」
- 地域: 「〇〇(地域名)の動物病院」
数多くのCEPを持つことは、様々な場面で飼い主様の選択肢に入るチャンスを広げます。
「〇〇な症状ならA病院」「△△の予防といえばB病院」のように、複数の入り口を持つことで、より多くの飼い主様に認知される可能性が高まります。
よくターゲットを絞り込んでマーケティングした方が良いと思われがちですが、ターゲットを絞り込み過ぎると、このCEPも少なくなってしまうということです。
ターゲットを明確にすることは大切ですが、絞り込み過ぎないようにご注意ください。
また、さらに重要なのは、単に選択肢に入るだけでなく、「やっぱり〇〇先生のところがいいな」と思ってもらうこと、つまり強いプレファランス(好み/優先度合い)を築くことです。
これは、質の高い診療はもちろんのこと、親身な対応、丁寧な説明、清潔な院内環境など、日々の積み重ねによって生まれます。
CEPを意識して、強いプレファランスを獲得することで、より多くの飼い主様に「最初の、そして一番の選択肢」として選んでいただけるようになるはずです。
ビジネスホテルと高級ホテルの「ムダ」の違い
Posted 2025年04月04日 by
「ムダを無くそう」というのが一般的な考え方です。しかし、ムダを削った結果、独自の価値まで無くしてしまうケースは多いです。ホテルで言えば、ビジネスホテルはムダを極力削減しているためため、多少の違いはあれど、どこも同じようなものです。一方、高級なホテル程、ムダなものがあり、ホテルごとの独自性が感じられます。
とは言え、ムダはあった方が良いかというともちろんそういうわけではなく、ムダにも意味のあるムダと無意味なムダがあるように思います。
ホテルで寝るだけであれば、
・安い
・駅から近い
・フロントから部屋が近い
・枕元に充電器がある
・朝食が付いている
といった「機能」を求めます。仕事で頻繁にビジネスホテルを利用する私からすると、どうせ寝るだけなので機能最優先です。機能面は競合と比較できるため、機能のムダは無意味なムダ扱いになってしまいます。
一方で高級ホテルでは
・高い
・駅から遠い
・フロントも部屋もムダに広い
など、機能だけで言えばあえて選ぼうとは思いません。しかし、単なる機能としてではなく、「意味」のある体験をすることで価値を実感することができます。一流の高級ホテルでは、すべてのゲストに対して、個々にカスタマイズされた体験を提供することに重点を置いています。こういった非日常的な空間での滞在は、自己成長や視野の拡大に繋がります。
機能だけを追求していくと、どんどん人を介さなくなります。ビジネスホテルでは、機械によるセルフチェックイン・セルフチェックアウトが多くなってきました。早くチェックイン・チェックアウトできるので、機能を求めている人からするとありがたいです。
人を介して丁寧に接客すると時間がかかるなど、当然ムダも発生しますし、イレギュラーもあります。しかし、個別対応のホスピタリティを受けることで、そこでしか意味や思い出は生み出せないのも事実です。もし、高級ホテルでセルフチェックイン・セルフチェックアウトだったら、味気なく感じてしまいます。機能性は劣るけれど、意味のあるムダということになります。
機能を追求するのか、意味を追求するのか。動物病院においても、ここを正しく判断することが大切になってきます。自院の立ち位置をどうしていくか、またどういった飼い主様層をターゲットにするかによって、省くべきムダなのか、意味のあるムダなのかが変わってきます。改めて自院のムダについて考えてみてはいかがでしょうか?
空港の御翔印帳をご存知でしょうか?
Posted 2025年03月17日 by
御朱印をご存知の方は多いかと思います。
お寺の未来総合研究所の調査データによると、御朱印人口は2000万人と言われています。
日本人の成人を1億人とすると、72%の7200万人が年間1回以上寺社に参拝されます。
この7200万人のうち、27%の2000万人が一度は御朱印を受けたことがあるそうです。
御翔印とは、御朱印文化を空でも展開したいという想いから、2022年から制作されているJALオリジナルの御朱印帳です。
御翔印は空港によってデザインが異なっており、JAL社員が実際に筆書きをしたものを印字しているそうです。
飛行機に乗る機会は度々ありましたが、御翔印の存在を知らず、先日ニュースを見て知りました。
どうせ飛行機に乗るのなら、御翔印を集めてみたいな、と興味をそそられています。
もっとマーケティングして発信すれば、集客につながるのではないかと、勿体なくも思います。
上記を参考に、動物病院でも「御ワン印帳」「御ニャン印帳」みたいなのがあっても面白いかもしれませんね。
地域の動物関連の店舗と協力してペット版御朱印帳を作るも良し、自院独自で季節に応じて御朱印を作るも良し、飼い主様もスタッフも楽しめそうです。
楽しみながら、且つ集客もできるようなイベントや企画を考えていきたいものです。
言葉1つで人の心の成長は大きく変わる
Posted 2024年12月06日 by
後輩や部下の指導に悩まれている人は少なくないと思います。
指導の際によくあるのが、同じ質問を何度もされるということです。その際に「前にも言ったよね」と言いたくなります。しかし、この言葉を使うことはマイナスにしかなりません。言われた本人は自分の能力不足を感じて自信を喪失して、やる気が低下してしまいます。また、わからないことがあっても質問しづらくなり、わからないまま業務することでミスに繋がります。相手が自分に抱く感情も否定的になり、関係悪化にも繋がりかねません。
そのため、「1度教えただけで、よくここまで理解できたね。次はここを改善してみよう」と変化を認めて、報告しやすい環境を作ってあげることが大切です。できたことを褒められることで、やる気にも繋がります。
変化を褒めるに関して言えば、例えばミスを繰り返していたスタッフが努力してミスの回数が減ってきた時などにも有効です。「またミスしているの?」と注意するよりも、「以前よりもミスが減ってきたね。何か工夫しているのかな?」と変化を認めてあげることで、やる気を引き出す効果があります。本音を言えばミス0が理想ではありますが、正義を振りかざしてそれを相手に伝えたところで、やる気の低下に繋がりますし、良好な関係を保つことは難しいです。
ただし、ご機嫌を取るために褒めるのではなく、目的を持って褒めることが重要です。今回で言えば、「報告しやすい環境を作る」「スタッフのやる気を引き出す」などが目的です。
言葉1つで人の心の成長は大きく変わってきます。ちょっとした言葉を意識してみてください。
ワークライフハーモニー
Posted 2024年06月03日 by
「ワークライフハーモニー」という言葉を聞いたことはありますか?
2016年当時のAmazon社のCEO(当時)、ジェフリー・プレストン・ベゾス氏の発言によって広まった概念です。
プライベートが幸せであれば、仕事にも大きなエネルギーを注げるようになる。
仕事が充実していると、プライベートもより楽しめる。
仕事とプライベートは「競合」し合うものではなく、「融合」(harmony)させ、最適な状態を目指すべきだという考えです。
私たちがよく使う「ワークライフバランス」とはどう違うのでしょうか?
ワークライフバランスは、「仕事の時間」とそれ以外の「プライベートの時間」を分けて考え、「仕事」と「プライベート」のどちらかに比重を置きすぎると、どちらかが圧迫されるという概念が根底にあります。
そのため両方のバランスを取ろうとすれば、どちらの欲求も完全に満たすことができないジレンマを抱えることになります。
一方で、ワークライフハーモニーは、「仕事」も「プライベート」もどちらかを犠牲にすることなく、最大限のパフォーマンスの発揮を目指すものです
似て非なる言葉です。
このワークライフハーモニーを実現するためには、企業として、多様な働き方を認め、柔軟な働き方ができる組織体制の構築が求められることになります。
簡単にできることではないですが、ワークライフハーモニーが実現できれば、従業員の満足度が上がるだけでなく、企業側の成長にも繋がっていきます。
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