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カテゴリー: 動物病院の経営
スタッフの強みを引き出す小さなヒント
Posted 2025年11月28日 by
スタッフや飼い主さんと接するとき、無意識に受け取られる印象を理解しておくと、コミュニケーションがぐっとスムーズになります。その手助けになるのが相貌心理学です。顔立ちや表情の特徴から、どのように見られやすいかを統計的に読み解く心理学で、スタッフの評価やチーム理解のための補助的なツールとして使えます。型にはめるものではなく、あくまで判断の参考です。
顔立ちによって受け取られやすい印象は違います。シャープな顔立ちは知的な印象を与えやすく、ふっくらした顔立ちは親しみやすい印象を与えやすい。こうした傾向を理解することで、接し方や指示の出し方を工夫し、評価や信頼関係をスムーズにすることができます。また、トラブルやクレーム対応の際も「こういう印象があるかも」と一呼吸置くだけで、対応の幅が広がります。
私たちの仕事でも同じです。日々の小さな声かけややり取りが、チームや患者様の行動に影響を与えます。相貌心理学はその補助ツールの一つに過ぎませんが、ちょっとした気づきや配慮が、信頼関係を深め、コミュニケーションをスムーズにするきっかけになります。小さな工夫がスタッフや患者様との関係をより良いものに変えるのです。
顔や表情はチーム理解のヒント。経営者はそれを使ってスタッフの強みを引き出し、信頼関係を育てることができます。あくまで補助ツールとして活用し、現場での判断や対応を支える知識として持っておくと、より安心で柔軟なチーム運営が可能になります。
荒れたSNSに希望の光 ― 小さな言葉が大きな支援へ
Posted 2025年11月25日 by
「発信の場は荒れてしまった」と感じることがあります。
しかし先日、そんなSNSで思わず心が温まる出来事がありました。
がんと闘っていた22歳の方が、最期にユーモアのある投稿を残したところ、
多くの方がその投稿に共感し、「香典代わりにがん研究への寄付を行う」
結果として、国立がん研究センターをはじめとする研究機関への寄付が
SNSは時にネガティブな印象を与えますが、
この事例は「発信が人の行動や支援につながる力」を改めて示しています。
一人の言葉が、多くの人の心に届き、社会的な支援の波を生むのです。
私たちの仕事も同じだと思います。
診療やスタッフ間のやり取り、院内外への情報発信の中で、誠実で温かい言葉が、
誹謗中傷が目立つ時代だからこそ、私たちは「言葉の力」を信じ、ポジティブな発信を
小さな一言でも、誰かの支援や行動につながる可能性があるのです。
クリニックと保育園の上手なコラボ
Posted 2025年11月20日 by
ある保育園では、出産前の母親や父親(プレママ、プレパパ)を対象に沐浴体験会を実施している。
講師はクリニックなどの助産師に依頼して行っているが、併せて保育園が行っている活動を紹介したり、使用しているベビーセンサー(体動センサー)などお見せし、安全策も紹介している。
プレママ、プレパパにとっては、保育園探しや保育園見学のアポイント取りなどの手間が減り、好評のようだ。
クリニックと保育園の上手なコラボの事例だと感じる。
気づかぬうちに噓情報を信じる恐怖
Posted 2025年11月19日 by
先日あるネット回線の企業が、AIの利用者が気づかぬうちに嘘情報を信じ込む可能性があるという調査報告をした。
その企業は、20~50代の男女にAIの利用用途を調査したところ、約6割の人が「情報収集や調べもの」と回答した。
そして、AIが回答時に嘘情報を入れてしまう「ハルシネーション」という現象ついて調べたところ、7割程度の人が「知らない」と回答した。
つまり、AIを使って情報収集や調べものを使っている人が多いにも関わらず、その答えが嘘情報だと気づかず信じてしまう可能性がある。
グーグルでも近年の検索結果にAIを用いた概要が表示されるようになったが、必ず出典元のサイトを明記するようになった。
AIの力を妄信せず、必ず出典を確認する癖をつけてもらいたいと思う。
同年代による刺激
Posted 2025年11月13日 by
約40年ぶり? 労働法の大幅改正か
Posted 2025年11月07日 by
労働法が大幅に改正される事が検討されている。
まだ2025年秋の時点で、法案として成立しているわけではなく審議会などで審議されている段階ではある。
今後、改正として検討されているものは以下である。
・法定休日の特定義務
・勤務間インターバル制度の義務化
※勤務終了後から次の勤務開始まで11時間を確保する。例えば残業などで21時に勤務終了したら、翌日は8時以降しか勤務開始できない。
・有給休暇の賃金算定における通常賃金方式の原則化
・つながらない権利に関するガイドラインの策定
※労働時間外の電話やメールなどの連絡に対する応答を拒否できる権利
・法定労働時間週44時間の特例措置の廃止
※現在、常時10名未満の小規模事業場は、特例として週44時間の勤務が認められている
など
動物病院業界にとっても、影響を受けるものが多々ある。
現段階で対応すべき事ではないが、本格的に法案が成立した際は対応を迫られる。
今から準備しておくか、成立してから対応するか検討してもらいたい。
小さな兆候と時代の流れ
Posted 2025年11月02日 by
先日、医療グループの責任者の方と話す機会があった。
介護施設の買収した後の苦労、へき地での医師不足の話など話す事ができた。
大きな経営母体であっても、医師不足や経営難により大学に買収するというケースもある。
様々な小さな兆候が、起こり始めている時代ともいえる。
その小さな兆候を一つ一つアンテナをはって、時代の流れにのっていければと思う。
レガシーを遺せるか
Posted 2025年10月31日 by
元トヨタ自動車の会長である神谷 正太郎 氏は経営者の段階について、以下のような言葉を遺している
第1段階:社長個人でお金を儲けようとする時期。
第2段階:会社として利益を生み、蓄積を考える時期。
第3段階:売上高や社員を含めて、会社全体を大きくしたいと願う時期。
第4段階:人や組織作りに一生懸命になる時期。
第5段階:業界や、世の為、人の為に尽くす時期。
第6段階:死んだとき悪口をいわれないように努める時期
規模感に違いはあれど、第4,第5段階にいる院長先生が多いように感じる。
私自身、ほんの少しではあるが経営者でいた時プロデューサー的な方から、こんな言葉をよく言われていた。
「自分が死んでも天国にお金は持っていくことはできない。でも、思い出や功績だけは持っていくことができる。そして、功績の中で後世の人々のためにレガシーを遺すことを大事にしなさい」
前職でかかわった偉大な方でも、80歳という年で後世の人々のために、持続可能な世界を作るための活動や称える賞を作ったりしていた。
獣医療や経営者として成功している方も多くいるだろうが、ぜひレガシーを遺すような事に興味があれば実行いただきたいと思う。
SNS,AIは「悪貨は良貨を駆逐する」を加速させるか
Posted 2025年10月30日 by
経済の言葉で「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉がある。
元々は、「質の良い硬貨と悪い硬貨が世の中に混在した場合に、悪い硬貨が流通しやすい」という意味合いがあったが、昔より悪人がはびこるような治安の悪い状態を揶揄する際にも使われてきた。
SNS,AIが活用されるようになり、別の意味の「悪貨は良貨を駆逐する」が誕生してきたように感じる。
それは「間違った情報が広まっていく」という意味合いである。
SNSでは、メディアで著名人やコメンテーターが発言したことが、取り上げられ拡散されることがある。
その中には歴史や事実を知らずに、安易に発言したものがあり、その発言に多くの人々がSNS上で同調するケースが多々見られる。
その発言の良い悪いは、受け取る人によって判断が分かれるところではあるが、歴史的に間違っているという事が分かっているものについて、世の中的に良い発言と評価され、それが常識となっていく方向に「悪貨は良貨を駆逐する」と思わざるえないように感じる。
今のところ、AIはSNSの内容を参考にせず、昔ながらのSEOを基に情報の質を判断するような仕組みになっていると聞くが、今後はどのようになるか…
色々気を付けてみていきたいと思う。
生成AI時代に問われる「本質的な思考力」
Posted 2025年10月23日 by
日々、診察や経営でお忙しい院長先生方も、おそらく「ChatGPT」をはじめとする生成AIという言葉を耳にされているかと思います。
私は日頃から生成AIを活用しており、今や手放せない「右腕」のような存在です。例えば、経営の課題に行き詰まった際、これまでの考えを整理して生成AIに問うと、ネット上の膨大な情報を整理し、質の高い示唆を与えてくれます。特に最近の推論モデルは、専門性の高い質問に対しても、詳細な調査に基づいた回答を返してくれるため、頼れる「相談相手」となっています。
しかし、この便利なAIと私たちの「知性」の関係について、先日、あるコラムを読み、大変考えさせられました。
日本経済新聞に2025年3月24日に掲載されたFinancial Timesのコラム「人間の知性は衰退を始めたか」です。この記事では、OECD(経済協力開発機構)による「学習到達度調査(PISA)」の最新結果が紹介されています。これは、15歳の生徒が読解力、数学、科学の3分野をどの程度活用できているかを測る調査です。
衝撃的なことに、世界全体で見ると、2012年頃からスコアは頭打ちになり、その後は大きく落ち込んでいるというのです。また、この思考力や問題解決能力の低下傾向は、10代だけでなく、成人にも同様に見られるとのこと。
これは、情報がオンラインで常に手に入るようになった時期と重なります。記事では、「活字離れは視覚メディアへの移行が進んだ結果ではないか」と考察しています。
私たちは、思考を検索エンジンやSNS、そして生成AIに「アウトソーシング」し過ぎていないでしょうか?
かつては、何かを学ぶ際、本を調べたり、自分の頭で深く考えるプロセスがありました。この能動的な探求を通じて、思わぬ情報と結びつき、新たな発見やアイデアの飛躍が生まれる「セレンディピティ(偶発的な幸運)」が起こっていました。
しかし、今は断片的な情報が次々と流れてくるSNSを受動的・感覚的に消費する傾向が強まっています。この「思考のアウトソーシング」の結果が、OECD調査が示す「知性の衰退」だとしたら、生成AIの進化は、この傾向をさらに加速させるでしょう。
院長先生に問われる「生成AIとの接し方」
この流れの中で、私たちに問われているのは、「生成AIとの接し方」です。これは、日々の診察、診断、そして動物病院の経営にも共通する重要なテーマです。
生成AIは、最新の治療法や疾患の情報を整理したり、経営指標の分析を手伝ったりする強力なツールになり得ます。しかし、最終的な診断を下し、治療方針を決定し、病院という組織を導くのは、院長先生ご自身です。
理想的な関係は、「熟練の外科医と、その有能な助手」の関係に似ています。
■ 有能な助手(生成AI)は、手術中に必要な器具を最適なタイミングで手渡し、バイタルデータや既往歴といった大量の情報を瞬時に確認し、術者の負担を軽減します。彼らは、次のステップを予測し、的確な準備を整えます。
■ しかし、メスを握り、状況に応じて判断を下し、手術の成否の責任を負うのは、あくまで外科医である院長先生ご自身です。
外科医は、多くの情報収集や準備作業を助手に任せていますが、「命を救う」という本質的な自分の仕事はアウトソーシングせず、自らの技術と判断力で完遂します。
私たちは、生成AIを思考を深めるための「最高の対話相手」として活用すべきです。
■ 自分の頭でまず深く考える。(診断仮説を立てる)
■ 考えを明確な文章にして生成AIに質問する。(稀な症例や最新論文の情報を検索・整理させる)
■ 返ってきた回答を鵜呑みにせず、それを叩き台にしてさらに深く考える。(症例への適応を判断する)
便利さに頼りすぎるあまり、ご自身の「本質的な思考力」、つまり「獣医療の核となる判断力」や「経営者としての決断力」をAIに委ねてしまわないよう、自らを律することが求められる時代に入っています。
生成AIを「強力な熟練の助手」として駆使し、院長先生の専門性と判断力をさらに磨いていくこと。これが、これからの動物病院経営の成功の鍵となるでしょう。
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