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なぜ「飼い主様の要望」に応えても、来院数は増えないのか?

Posted 2025年12月26日 by snc_editor

ビジネスにおいて最も重要なこと。
それは、 「顧客が欲しいけれど、ありそうで、ないもの」を見つけることです。

 

しかし、これは非常に難しいものです。
「飼い主様にアンケートを取ればいい」という意見もありますが、実はアンケートからはヒット商品やヒットサービスは生まれません。

 

あのスティーブ・ジョブズは顧客調査をしませんでした。
高級トースターで有名なバルミューダの寺尾社長も、顧客調査をしないことで有名です。

 

なぜ、調査をしないのか?
それを示す、ある食器メーカーの有名なエピソードがあります。


「言っていること」と「やっていること」は違う

食器メーカーが主婦たちに尋ねました。
「次に買うとしたら、どんな皿が欲しいですか?」

 

議論の末、彼女たちが出した答えは「モダンな四角い黒い皿」でした。
ところが、帰り際にお礼として好きな皿を持って帰ってもらうと、全員が「丸くて白い皿」を選んだのです。

 

驚いた担当者が理由を聞くと、彼女たちはこう答えました。
「うちの棚、丸い皿ばかりだから四角いと重ならないのよね」

「うちのテーブルは木目だから、白い方が料理が映えると思って」

 

これが顧客心理の真実です。
人は、自分が本当に何を求めているのか、自分自身でもよく分かっていないのです。

 

「飼い主様が言う通りに設備を整えたのに、反応が薄い」
もし先生がそう感じているなら、それは飼い主様の「言葉」だけを信じてしまったからかもしれません。

 

では、どうすれば「真のニーズ」が見つかるのでしょうか?


方法1:「違和感のある少数意見」に宝が眠っている

1980年代、シャンプー市場で大ヒットした「ピュア」という商品があります。
当時の開発担当(後の花王社長)は、500件のアンケートの中に、たった3件だけあった「髪を軽くしたい」という言葉に注目しました。

 

当時は「しっとり」が常識。
しかし、その「違和感」を掘り下げ、朝シャン文化に合わせた「軽い仕上がり」を打ち出し、爆発的に売れたのです。

 

動物病院でも同じことが言えます。
例えば、多くの飼い主様は「待ち時間を短くしてほしい」と言います。
しかし、ある一人の飼い主様がポツリと言った「待ち時間は長くてもいいから、他の犬と顔を合わせたくない」という違和感のある言葉。

 

ここにこそ、「個室待合室」や「完全予約制」といった、地域で独走するためのヒントが隠されています。
多数派の意見ではなく、これからは「かすかな変化」に気づく目利きが求められます。


方法2:現場を観察する「エスノグラフィー」

もう一つ、強力な手法が「エスノグラフィー(行動観察)」です。

 

途上国の未熟児を救うために、あるチームが「安価な保育器」を作ろうとしました。
しかし、現地に行ってみて驚愕します。
そもそも8割の赤ちゃんは自宅で生まれ、そこには電気が通っていなかったのです。

 

彼らが現場を観察して作ったのは、電気のいらない「寝袋のような保育器」でした。
これは、現場で母親たちが「湯たんぽ」で必死に温めている姿を観察したからこそ生まれた発明です。


今日からできる「観察」

飼い主様に「何が不満ですか?」と聞く必要はありません。
その代わり、待合室での飼い主様の動きをじっくり観察してみてください。

 

・会計を待つ間、ずっと重いケージを膝に乗せて疲れていないか?

・掲示板を読んでいるふりをして、実は周囲の視線を気に病んでいないか?

・診察室を出た後、すぐにスマホで何かを検索していないか?(説明が難しかったサインかも)

 

「問い」を向けるべき相手は、飼い主様の「言葉」ではなく、自身の「観察眼」です。
一番厳しい顧客になったつもりで、「なぜ今、あの方は眉をひそめたのか?」と考え続ける。

その「なぜ」の先に、地域から選ばれ続ける病院の未来があるはずです。

カテゴリ: 動物病院の経営経営者目線飼主様満足度向上黒澤

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