- ホーム
- 忙しい現場でも進められる、現実的な改善の考え方
カテゴリー: 宇井
忙しい現場でも進められる、現実的な改善の考え方
Posted 2025年12月04日 by
本当は変えたほうがいいと分かっていても、手つかずのままになってしまう仕組みは少なくありません。導線、説明の順序、受付、予約の整理など、大きな改革ではないにもかかわらず動けない。これは意志ではなく、日常の業務構造に原因があります。
1.飼い主様の戸惑いを最小限にしたい
仕組みを変えると動線や手続きも変わり、一時的に混乱が生まれます。診療を止められない現場では「混乱を増やさないこと」も重要で、改善よりも安定が優先されることがあります。
2.スタッフの負担が増える
改善には理解、共有、定着が必要です。覚えることが増えたり、やり方を揃える作業が生まれたりするため、実行のハードルが高く、結果的に先送りになりがちです。
3.改善に割ける時間がない
改善には、現状の把握から変更後のシミュレーションまで一定の思考時間が必要です。診察や電話が続く環境ではその時間が取れず、目の前の業務が優先されます。
大きな変更より小さな調整が現実的
忙しい現場では、一度に大きな改革を行うより、日常の流れをわずかに整えるほうが効果的です。たとえば以下のような取り組みは、混乱を生まず、確実に負担を減らす という点で、忙しい病院ほど効果が出やすい取り組みです。
・よくある質問を決められた回答で統一し、回答例を少しづつ増やしていく
・よく使う備品の再配置
・気づきや改善点、聞きづらい質問などをノートにまとめる
・清掃、補充の担当箇所を分担し、なるべくタスクを絞る
まとめ
もちろん動物病院には、現状維持を選ぶほうが業務全体がスムーズに回る時期もあります。ただ、落ち着いたタイミングで、どの部分が滞りやすかったか、どこを整えると効率が上がるかを短時間でも振り返るだけで、次の忙しさに備えた準備ができます。改善を進められない期間も含めて、病院の流れは少しずつ形づくられます。
カテゴリ: 宇井
口コミに映る病院の理念
Posted 2025年10月31日 by
動物病院を選ぶとき、多くの飼い主様はいくつも病院を比較して回るわけではありません。検索や広告、自分の生活圏で目についたいくつかの病院をチェックし、その中から選ぶときの判断材料のひとつになるのが口コミです。つまり、口コミは「病院の第一印象」を形づくる重要な要素です。星の数やコメントを通して、来院前の飼い主様が病院の雰囲気や診療スタイルを想像する。その一文一文の向こう側に、先生方やスタッフの皆さんの日々の姿勢が映し出されています。
「評価」ではなく「体験の断片」
「先生がとても丁寧に説明してくれました!」という星5と、「説明が長くて時間がかかった」という星2。どちらも事実であり、飼い主様の感じ方や状況によって受け取り方は変わります。口コミは評価というよりも、その人が感じ取った体験の断片です。だからこそ、数字そのものよりも、どんな体験が言葉として残っているかに注目することが大切です。そこには、病院の理念や診療方針がどのように伝わっているかが、はっきりと表れます。
情景の浮かぶ言葉が信頼を生む
同じ星の数でも、「優しかった」「丁寧だった」といった抽象的な言葉より、「診察中に猫が怖がらないように声をかけてくれた」「複数の治療方針をわかりやすく提示してくれた」といった具体的な記述のほうが、読む人の安心感につながります。信頼は数値では測れませんが、こうした情景の浮かぶ言葉があることで、初診前の不安は確実にやわらぎます。「この病院に行ってみよう」と思ってもらえる口コミは、単なる評価ではなく、理念の伝わった証でもあるのです。
評価より、心に届く診療を
これからの時代は「星を増やすこと」よりも、「どういう人に、どんな価値を届けたいか」を明確にすることが重要になります。全員に好かれようとすれば、病院の個性や強みは薄れてしまいます。しかし、理念や診療スタイルを貫けば、そこに共感してくださる飼い主様が自然と集まります。理念に共感する飼い主様とのつながりが増えていけば、星の数以上に価値のある信頼が育っていきます。
ネガティブな声への向き合い方
もちろん、中には心無い言葉や、一方的な誤解に基づく口コミもあります。そうした声に心を痛めることもあると思いますが、感情的にならず、「これは一つの意見」として冷静に受け止めることが大切です。そのうえで、「何が伝わらなかったのか」「どんな誤解が生まれたのか」を考えることができれば、口コミはマイナスではなく、改善のヒントにもなります。
まとめ
評価や口コミはあくまで結果であり、目的ではありません。どんな声にも学びを見出しながら、病院の理念や姿勢を磨き続けていく。そして、共感してくださる飼い主様との信頼を一つひとつ積み重ねていく。その積み重ねこそが、病院のらしさを形づくり、理念を現場に根づかせていく力になるのだと思います。
カテゴリ: 宇井
その場で絞るオレンジジュース自販機に学ぶ、“見せる価値”
Posted 2025年09月25日 by
最近、事務所の前に「その場でオレンジを絞ってジュースを提供する自販機」が設置されました。
透明なガラス越しにオレンジが転がり、切られて、搾られて、カップに注がれていく様子を見ていると、つい立ち止まってしまいます。飲んでみれば確かにおいしい。
でも、それ以上に 「目の前で作られている安心感やライブ感」 が心を惹きつけるのだと気づきました。
この自販機の仕組みから、動物病院経営にも応用できる大きな学びがあります。それは、 「見せることで価値が高まる」 ということです。
“見せる価値”がなぜ効くのか?
ペットボトルのジュースと比べて、価格は高めです。それでも買いたくなるのは、
・その場で作られている「安心感」
・工程が見えることで得られる「信頼感」
・体験自体がユニークである「特別感」
この3つの要素が重なっているからです。
つまり、単なる飲み物ではなく「体験付きの商品」に変わっているのです。
動物病院に当てはめると?
動物病院でも同じことが言えます。
診療や検査は「中で何が行われているのか」が飼い主さんからは見えにくい部分。
だからこそ、あえて見せる工夫をすることで安心と納得を生み出せます。
・検査結果をモニターに表示して説明
・処置の流れをイラストや動画でわかりやすく伝える
・スタッフ教育や院内ルールを公開して透明性を高める
こうした取り組みは、サービスの“質”をそのまま見せることになり、結果的に価格に対する理解やリピートにもつながります。
“見える化”が信頼と選ばれる理由になる
このオレンジジュースの自販機は、ただおいしいジュースを売っているだけではありません。
「見えるから信じられる」仕組みを商品に組み込み、結果的に付加価値を作り出しているのです。
動物病院でも、診療行為の可視化やこだわりの開示は、飼い主さんにとって大きな安心になります。
信頼は、集患やリピートの最も強い原動力です。
まとめ
動物病院の経営改善は、単に「良い医療を提供する」だけでは不十分になりつつあります。
「どのように伝え、どのように見せるか」 が、サービスの価値を大きく左右します。
“見せる価値”を意識した取り組みこそ、これからの動物病院経営の差別化ポイントになるのではないでしょうか。
カテゴリ: 宇井
病院経営に欠かせない、温かい雰囲気
Posted 2025年08月19日 by
夜道を歩いていて、ふとどこからか煮物のにおいがしてくることってありませんか?知らない家から漂ってくるだけなのに、なんだか心がほっとして、「ああ、誰かが温かいご飯を作っているんだな」と、安心する。
この「安心感」は、動物病院の経営にも通じるものだと思うんです。
飼い主さんが病院を選ぶとき、もちろん医療の質や料金も大切です。
でもそれと同じくらい大事なのが、病院全体が醸し出す“雰囲気”です。
受付で笑顔で迎えられるかどうか。
スタッフ同士がぎくしゃくせずに会話しているかどうか。
待合室が清潔で、落ち着いた空気があるかどうか。
こうした要素は、飼い主さんにとっては「この病院なら大丈夫」と感じる根拠になります。夜道で感じる煮物のにおいのように、「ここには安心感がある」と、無意識に心を和ませてくれるんですね。
病院の経営を考えるときには、数字やシステムの改善に目が行きがちです。
でも、それだけでは足りません。小さな声かけや、スタッフ同士の関係性、院内の雰囲気といった“安心を生む仕組み”を整えることも、同じくらい大切です。
飼い主さんが「また来たい」と思う病院には、必ずその安心感があります。
それは大掛かりな投資をしなくても、今日から少しずつ作り出せるものなんです。
ぜひ皆さんの病院でも、飼い主さんにとっての「煮物のにおい」、そんな安心感を意識してみてください。
カテゴリ: 宇井
Search
Categoly
Inquiry
Archive
- 2025年12月
- 2025年11月
- 2025年10月
- 2025年9月
- 2025年8月
- 2025年7月
- 2025年6月
- 2025年5月
- 2025年4月
- 2025年3月
- 2025年2月
- 2025年1月
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月









無料書籍
無料メルマガ登録